研究倫理規程
前文
福音主義教会の教役者養成機関として設立された本学は、福音主義神学の根底である宗教改革の精神に基づいて真理を探究し、文化の発展と人類の福祉に寄与する研究活動を行ってきた。研究者は、憲法に保障された学問の自由の下に研究活動における自主性が尊重され、真理を探究する権利を有するとともに、その研究活動には、宗教改革の改革精神に相応しい高い倫理性が求められる。本学は、本学における健全な学術研究の発展と社会との共生のため、ここに学術研究の倫理規程を定め、本規程の定める所を実施する責任を負うものとして倫理委員会を設置する。
1.目的
本規程は本学の学術研究の信頼性と公正性を確保することを目的とし、研究活動上の基本的な倫理指針を定め、またこれを有効に実施するために倫理委員会を設置するものである。
2.対象
本規程における「研究者」とは、本学に所属する常勤及び非常勤の教員並びに研究生の他、本学で研究活動に従事するすべての者を指し、学生も研究活動に従事するときは、研究者に準ずるものとする。
3.大学の責務・倫理委員会の設置
- 本学は、研究倫理に係る意識を高め、研究活動に係る不正行為及び研究費の取扱における不正行為を防止するため、研究活動及び研究費の適切な管理等について必要な措置を講じる。
- 本学は、研究活動に不適切な行為が認められた場合は、速やかに原因の究明と適切な措置を講じ、必要に応じて、学内外への説明責任を果たす。
- 前2項の責任を果たすために、倫理委員会を置く。
- 倫理委員会は、旧約聖書神学、新約聖書神学、組織神学、歴史神学及び実践神学の5部門の代表者である5名の委員をもって組織する。そのうちに学長がいる場合は学長が、そうでない場合は委員のうちの最年長者が委員長となる。
4.研究者の責務
- 学術研究における不正行為の防止
研究者は、研究活動のあらゆる局面において、捏造、改ざんまたは剽窃などの不正行為を行わないこと、またはこれらに加担しないことはもとより、研究・調査データの記録保存や適切な取扱を徹底し、不正行為の発生を未然に防止するよう研究環境の整備に努める。とくに研究を指導する立場にある者は、不正行為が行われないよう、指導のもとにある研究活動及び研究者等の管理、配慮を行う。 - 礼拝説教における引用
礼拝説教における引用については、「説教学」の授業等において、説教における引用の意味について、主要な学説を解説し、オリエンテーションを行うものとする。また、説教者の倫理問題に觝触することのないように指導する。 - 研究費の適正な使用
研究者は、研究の実施及び研究費の使用にあたっては、研究の助成目的等を最大限に尊重するとともに、本学規則及び研究費ごとに定められた条件や使用ルール等を遵守する。研究の実施または研究費の使用が、条件や使用ルールに即しているかどうかは、倫理委員会に相談することができる。 - 契約の遵守及び守秘義務
研究者は、研究や知的財産権に関する契約を締結する際は、本学が定める手続に則って行い、契約書に定められた内容を遵守するとともに、知り得た情報で守秘義務が発生する場合は、これを遵守する。 - 研究成果の適切な発表と著作権の尊重
研究者は、研究成果の公表について、データや論拠の信頼性の確保について十分留意するとともに、他の研究者の研究成果やオリジナリティーを尊重して公正かつ適切な引用を行うものとする。また、学術論文等の発表に際しては、著作権や既に発表されている関連データの利用等について、各研究組織、研究分野、学術誌ごとにある固有の慣例やルールに則って細心の注意を払い、著者全員の十分な了解のもとに行うものとする。 - 審査の公正性
研究者は、他者の研究論文の査読や審査にあたる場合には、審査対象者の学会あるいは教派等への所属のいかんや審査対象者との関係等によって不当な評価を行うことなく、学問的な基準や当該審査の審査基準に基づいて、公正に審査を行う。 - 差別やハラスメントの排除
研究者は、研究活動のあらゆる局面において、各個人の人格と自由を尊重し、学会あるいは教派等への所属のいかんや思想、信条による差別を行ってはならない。また、研究上の優位な立場や権限を利用して、その指示、指導等を受ける者に不利益を与えるような言動をとってはならない。 - 個人情報の保護
研究者は、研究の過程で入手した他者の個人情報の保護に努めるものとする。 - 思想、信条に関する調査
思想、信条に関する調査または心理学的調査ないしは実験を行うときは、調査・実験の対象者の人権を損なわないように注意し、その目的と方法を倫理委員会で説明し、承認を得て行う。
5.倫理委員会への通報
- 4(1)から(9)までに規定する不正行為または人権侵害があった場合、そのことを知った者は、倫理委員会の委員の一名に、これを通報しなければならない。
- 前項の通報を受けた委員は、直ちにこれを委員長に報告し、委員長は事実関係の調査の必要性を検討したうえ、報告を受けてから10日以内に委員会を招集しなければならない。
- 前項によって招集された委員会は、事実関係を調査し、講じるべき措置の原案を決定して、教授会に報告する。
- 学長は教授会の承認を得て、不正行為の是正を命じ、また不正を行った者について懲戒等の処分を科することができる。
附則 この規程は、2014(平成26)年3月24日から施行する。