教員紹介
特任准教授
河野 克也かわの かつや
新約聖書の各書は真空状態で天から降ってきたものではなく、具体的な歴史的また文化的背景の中で、多数の信仰者の手によって書かれたものです。各書には固有な背景がありますので、その背景を丹念に辿りながら各書の固有の声に耳を澄ませることが、私たちの信仰を強固なものにし、また豊かなものにします。固有の声を「聞く耳」を鍛えましょう。
- 略歴
- 1988年 国際基督教大学卒業
1991年 東京聖書学院卒業
1991〜1992年 日本ホーリネス教団横浜いずみ教会牧師(副牧師)
1991〜1992年 東京ミッション研究所主事
1992年 神戸ルーテル神学校卒業 M.Div.
1992〜1994年 合同メノナイト聖書神学校(米国・インディアナ州)に留学 M.A.
1994〜1997年 デューク大学神学部(米国・ノースカロライナ州)に留学 Th. M.
1997〜2004年 サザン・メソジスト大学大学院(米国・テキサス州)に留学
(宗教研究博士課程に在籍:論文執筆途中に帰国し満期退学)
2004〜2008年 日本ホーリネス教団八王子キリスト教会副牧師
(八王子キリスト教会の伝道所・陣馬高原キリスト教会担当)
2005〜2008年 一橋大学非常勤講師
2009〜2022年 青山学院大学非常勤講師
2012〜2015年 日本ホーリネス教団中山キリスト教会協力牧師
2015年〜現在 日本ホーリネス教団中山キリスト教会牧師
2018年〜現在 日本聖書神学校非常勤講師
2023年〜 東京神学大学特任准教授(新約聖書神学) - 最終学位
- 神学修士(Th.M.)
米国・デューク大学神学部(Duke Divinity School)
修士論文題 “Toward an Internal Reading of Mark 13.” Th. M. Thesis. Duke Divinity School, 1997.
参考:デューク大学 - 所属学会
- Society of Biblical Literature
日本聖書学研究所
日本新約学会
日本ウェスレー・メソジスト学会
日本福音主義神学会 - 専門分野
- 新約聖書学
- 関連分野
- ヘレニズム・ユダヤ教、ギリシア・ローマ世界、1〜3世紀までのキリスト教 (サザン・メソジスト大学大学院での副専攻:総合試験科目)
- 長期研究テーマ
- パウロ神学:特に初期ユダヤ教黙示思想の背景から見たパウロの終末論・救済論
新約聖書解釈の方法論:特に物語批評(人物造形)
修復的正義と贖罪論 - 短期研究テーマ
- 博士論文執筆:パウロ書簡における聖性回復の黙示的ヴィジョン
- 著書・発表論文
-
- “Paul’s ‘Apocalyptic’ Paradigm of Mission in Light of Recent Discussion of Apocalypticism.” Mission Focus: Annual Review 11, Supplement (2003): 117-39.
- 「マルコ福音書における癒しと救い:物語批評の視点から」『福音主義神学』39号、2008年。
- 「正統主義の憧れと歪みを超えて:日本におけるホーリネス運動の課題」『ウェスレー・メソジスト研究』11号、2010年。
- 「贖い」「怒り」「犠牲」「十戒」「主の日」「法」「ヨベルの年」「律法学者」『聖書神学事典』、いのちのことば社、2010年。
- 「パウロの『契約遵法主義』再考:そのユダヤ教的性格をめぐる最近の研究史によせて」『聖書的宗教とその周辺』聖書学論集46号、日本聖書学研究所、2014年。
- 「聖化の再定義:パウロ神学の新しい視点から」『ウェスレー・メソジスト研究』16号、2015年。
- 「修復的正義と日本の教会の課題」『共生と修復』5号、2018年。
- 「異邦人の王たちの現実:『ムナの譬え』とヘロデ・アンティパス――ルカ福音書における悪の人物造形」『ペディラヴィウム』74号、2020年。
- 「修復的贖罪論の可能性を探る」『平和を作り出す神の宣教:現場から問われる神学』、東京ミッション研究所、2020年。
- 「排除から包摂へ:パウロにおける聖化の黙示的ヴィジョン」『ウェスレー・メソジスト研究』22号、2021年。
- 「『永遠の天幕』(ルカ16:9)のアイロニー:ルカ福音書における悪の人物造形をめぐる一考察」『聖書学論集』53号、2022年。
- 「腹いせの『拒絶』の上書き:『大宴会の譬え』(ルカ14:15-24)における悪の人物造形」『新約学研究』50号、2022年。
- 「『天におけるように地の上にも』――主の祈りにおける終末論」『礼拝と音楽』198号(2023年6月)16-19頁。
- 「パウロの黙示的福音(1)――黙示思想研究史の背景から探る」『神学』85号(2023年)146-72頁。
- 「主の再臨を待ち望む召された聖なる者たち――パウロ書簡からパウロの教会理解を探る」『伝道と神学』14号(2024年)91-110頁。
- ウィラード・M・スワートリー『平和の契約:福音の聖書神学的理解』、東京ミッション研究所、2006年(第6章、第7章、「回顧と展望」「要約と結論」担当)
- アリスター・E・マクグラス編『キリスト教神学資料集』下巻、キリスト新聞社、2007年(第10章「最後の事柄」「神学者の解説」担当)
- リチャード・ヘイズ『新約聖書のモラル・ヴィジョン:共同体・十字架・新しい創造』、キリスト新聞社、2011年(第3章、第4章担当)
- リチャード・ヘイズ『イエス・キリストの信仰:ガラテヤ3:1-4:11の物語下部構造』、新教出版社、2015年。
- H・J・クラウク『初期キリスト教の宗教的背景』下巻、日本キリスト教団出版局、2019年(第10章「神格化された人間:支配者祭儀と皇帝祭儀」担当)
- ペリー・B・ヨーダー『シャローム・ジャスティス:聖書の救いと平和』、いのちのことば社、2021年(共訳者:上村泰子)
- エミール・シューラー『イエス・キリスト時代のユダヤ民族史』第7巻、教文館、2023年出版予定。(第33節B「原語が不明なユダヤ教文学」担当)